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院長ブログ
歯周病と糖尿病
歯を失う原因で最も多いのが「歯周病」です。
さらに、歯周病の状態であると全身的にさまざまな病気のリスクが高くなることがわかっています。
その中でも特に注意が必要なのが「糖尿病」です。
同じ生活習慣病として密接に関係しているのです。
歯周病は、歯そのものではなく、歯の周囲の組織に問題が生じる病気です。
症状の進行段階により、「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
歯周病の原因
歯周病は口の中に存在する「歯周病菌」が起こす感染症です。その細菌は「プラーク」という歯の表面や歯と歯の間に付着したネバネバした水に溶けにくい物質に多くは存在し、温床になっています。
基本的には正しい歯磨きを行うことで取り除くことができますが、磨き残しがあると段々溜まっていき、2週間ほど経つと「歯石」という石のように硬い沈着物に変化します。
歯石の中では、歯周病菌が増殖を続けながら毒素を排出します。この毒素によって歯茎に炎症が起こるのが歯肉炎です。
歯肉炎が進行すると、歯と歯茎の隙間に歯周ポケットと呼ばれる溝が生じます。
歯周ポケットに歯周病菌が入り込むと、歯を支えている歯槽骨というあごの骨に炎症が起こり、さらに進行すると歯槽骨を溶かしてしまいます。
この段階が歯周炎であり、重症化すると歯槽骨が歯を支えられなくなり、歯がグラグラするようになって抜けてしまうことがあります
歯周病のおそれのある症状の例
・歯茎がむずがゆい
・歯磨きやデンタルフロスを使用すると出血する
・口の中がネバネバする
・歯が長くなった気がする
・歯がしみる
・歯と歯の間に食べ物がつまりやすい
・グラグラ揺れる歯がある
これらのうちで、一つでも当てはまるものがあれば、歯周病の可能性があるかもしれません。
歯周病と糖尿病の深い関係
歯周病があると、様々な病気などのリスクが高まることがわかっています。
これは、歯周病菌や歯周病菌で生じた炎症に反応して分泌されるサイトカインというタンパク質が、歯周ポケット内の毛細血管から血液中に入り、全身を巡ることで影響を与えるからと考えられている。
その中でも特に、糖尿病は歯周病と深い関係があり、糖尿病があると歯周病の発症率が健康な場合と比べて2.6倍になると言われています。
さらに、歯周病は糖尿病を悪化させることもわかっています。
これは、歯周病で生じた炎症によって分泌されたサイトカインが、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きを抑制するためです。
インスリンの働きが抑制されると血糖値が上昇し、糖尿病が悪化します。sらに、血糖値が高い状態では免疫の働きが低下するため、歯周病菌が増殖し、炎症が起こりやすい状態になります。
つまり、歯周病と糖尿病にかかっていると、悪循環になり、それぞれが悪化しやすくなります。
歯周病の予防と治療
歯周病の進行具合によって治療法は異なりますが、基本となるのはプラークコントロールです。
プラークコントロールとは、いわゆる日常の歯磨きのことではありますが、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを駆使して、歯の表面や歯と歯の間についたプラークをできるだけ取り除き、口腔内の環境を整えることです。
巷で液体ハミガキ(洗口液)というものがありますが、これはプラーク表面の細菌の抑制は期待できますが、歯と歯茎の間に入り込んだプラークの除去は期待できません。
あくまでもプラークコントロールとは機械的にプラークを除去することだとご理解ください。
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